ナイルパーチの女子会/柚木麻子
傑作です。
うまく友達を作れない女性たちの物語
客観性や相手への思いやりを欠いた瞬間に
距離感をつかめなくなって必死に執着してしまう姿にゾッとした。
自分にも思い当たる節があったから。
みんな怖い部分を持っていて、
頭のおかしいあの人も
自分と大して変わらないのかもしれないよ。
ブックカフェで読み切ってしまったけど、
自分で購入して何度も読みたい。
自分を操る超集中力/メンタリストDaiGo
今年読んだ実用書の中で今のところダントツ1位。
良書でした。
実用書には二種類あると思ってて、
「ムカつく本」と「ムカつかない本」。
ムカつく本の特徴としては自分の経験と主観のゴリ押しであること。
実用書は、著者が自分の経験に基づいて良いと思われる思想をお勧めするものなので、ある程度仕方がないとは思うんだけど、
客観的な裏付けがないと、読み手の感覚と齟齬が生じたときに説得力が弱くて、拒否反応を与えてしまう。
あと、やたらと熱血な感じで感情的に書かれてるのも苦手。これも読み手との間に温度差を生じさせてしまう。
この本はほとんど客観的なデータに基づいて冷静かつ説得的に書かれているので、
すごく素直に内容が頭に入ってきました。
あと、実用書をわかりやすくするために目を引くトピックを立てることの弊害として、断片的になりがちで情報が散漫になってしまって最後まで読ませる力に欠けるってことがあると思うんだけど、
この本はわかりやすいトピックがある一方でしっかり系統づけられていて、最後まで面白く読めた。
一読したあとにトピックにあたって内容を確認するっていうような目次の使い方ができたし、一冊の本である必要性が感じられてとてもよかった。
本としての完成度の話に終始してしまったけど、もちろん内容もとっても充実していて、早速わたしも実践しようと思い、こんな感じで軽くノートにまとめてみました。
もっとも重要なのは前頭葉のウィルパワーを増やすことと節約すること。
不要な決断を減らしていこうと思ったすいかでした。
ラジオラジオラジオ!/加藤千恵
薄いハードカバーで白を基調にしたイラストの装丁が綺麗。
一枚めくると青と白の斜めになったストライプのページがでてきてまた綺麗。
手元に置きたくなるような見た目が100点満点。
かとちえの青春小説は初めてな気がする。
これだけ1人の主観にスポットが当たっているのも新鮮に感じた。
歌人だからかもしれないけど、時折とても心地のよい一節があって物語のテンポを整えている。
本作で好きだったのは、
「明日には忘れてしまいそうなものばかり学んでいる。明日の自分に必要かどうかもわからない。」
何にでもなれる気がしていて、自分が特別な人間であってほしくて、
そういう思春期の万能感に胸が痛かった。
主人公の華菜の自己中心さはきっと誰でも共感できる。
友達の気持ちに共感できず、根拠もなく大したことない悩みだと思ってしまうことは私にもあったなあと思った。
オトナになったら、自分よりすごい人が山ほどいることも、自分がトクベツなんかじゃないってことも、恋の悩みは想像よりずっと深刻だってことも、いつか気づいてしまう。
まだ気づいてないコドモが微笑ましくて羨ましい。
私も何者かになる夢を捨てきれずにいる。
とても読みやすくて、2時間弱で読み終わった。とにかく読後感がよい。心がジンとしてまた頑張る活力のわく、生産的で明るい小説なのでお仕事やお勉強の合間にオススメです。
アワー・ソングス/アイドルネッサンス
ソニーミュージック初のアイドルユニット、アイドルネッサンス。
新メンバー2人が加入する前の6人体制で出されたファーストアルバム。
結成は2014年、すでにアイドルブームは起きていて、かなり遅いローンチ。
たださすがソニーミュージックで、とにかく楽曲が素晴らしい。
アイドル戦国時代に、ロック寄りの個性派アイドルが増えてきた中で、
素直な歌声で古今の名曲をカバーする、真っ白な衣装の中高生というコンセプトはかなり目立っている。
今のアイドル界を牽引するグループは、
そもそも年齢が高めで、中高生メンバーも大人っぽくて、衣装は派手。
歌も王道アイドルの甘くあざとい歌声。
アイドルネッサンスは、そこに全く違った角度から挑み、昭和のアイドルに近いようなどこか懐かしい雰囲気なのに逆に新鮮さも感じる、新たなアイドルのジャンルを切り開いた。
アワーソングスは本当に名曲が粒ぞろい。
オリジナルは男性ボーカルのものばかりなのでキー操作の効果もあって、コピーではなくちゃんと「カバー」になっている。
そして歌がうまい。
切なく爽やかで、素直な歌声が原曲の良さを引き出している。歌詞を丁寧に歌っているところにはとても好感が持てる。
特にデビュー曲でもある「17才」は凄い。
ちょうど17才を目前にした少女たちが歌う17才はベボベとは全く違う甘酸っぱい曲に聞こえる。エネルギッシュで切なくて、可愛らしくて危うさもある。
老若男女、アイドル好きからロック好きまで多くの人に聞いてほしい名盤。