ラジオラジオラジオ!/加藤千恵
薄いハードカバーで白を基調にしたイラストの装丁が綺麗。
一枚めくると青と白の斜めになったストライプのページがでてきてまた綺麗。
手元に置きたくなるような見た目が100点満点。
かとちえの青春小説は初めてな気がする。
これだけ1人の主観にスポットが当たっているのも新鮮に感じた。
歌人だからかもしれないけど、時折とても心地のよい一節があって物語のテンポを整えている。
本作で好きだったのは、
「明日には忘れてしまいそうなものばかり学んでいる。明日の自分に必要かどうかもわからない。」
何にでもなれる気がしていて、自分が特別な人間であってほしくて、
そういう思春期の万能感に胸が痛かった。
主人公の華菜の自己中心さはきっと誰でも共感できる。
友達の気持ちに共感できず、根拠もなく大したことない悩みだと思ってしまうことは私にもあったなあと思った。
オトナになったら、自分よりすごい人が山ほどいることも、自分がトクベツなんかじゃないってことも、恋の悩みは想像よりずっと深刻だってことも、いつか気づいてしまう。
まだ気づいてないコドモが微笑ましくて羨ましい。
私も何者かになる夢を捨てきれずにいる。
とても読みやすくて、2時間弱で読み終わった。とにかく読後感がよい。心がジンとしてまた頑張る活力のわく、生産的で明るい小説なのでお仕事やお勉強の合間にオススメです。